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 『歌行燈』 従吾所好

 一軒、地の些と窪んだ処に、溝板〈どぶいた〉から直ぐに竹の欄干に成つて、毛氈の端は刎上り、畳に赤い縞が出来て、洋燈〈ランプ〉は油煙に燻つたが、真白に塗つた姉さんが一人居る、空気銃、吹矢の店へ、ひよろりとして引掛つたね。
 取着きに、肱を支いて、怪しく正面に眼の光る、悟つたの達磨様と、女のとを、七分三分に狙ひながら、
(此の辺に宗山ツて按摩は居るかい。)と此処で実は様子を聞く気さ。押懸けて行かうたつて些とも勝手が知れないから。

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