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 『五大力』 従吾所好

 さあ、いまの婦に奪られたか、と思ふと……又ね、其の水の上へ、一面に雨上りの霧がかゝつて、向う土手を所々小さな浮島に見せて、空まで果しがないやうな。何処か、其の川の真中あたりを、白いものがむく/\と持上げられて、其のまはりへ、薄い〓〈しぶき〉がかゝる風に、岸の火影がさら/\と靄越しに映りながら、ふら/\と流れて行く。……

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