検索結果詳細


 『高野聖』 泉鏡花を読む

 品物は侘しいが、なか/\の御手料理、餓ゑては居るし、冥加至極なお給仕、盆を膝に構へて其上に肱をついて、頬を支へながら、嬉しさうに見て居たわ。
 縁側に居た痴は誰も取合ぬ徒然に絶へられなくなつたものか、ぐた/\と膝行出して、婦人の傍へ其便々たる腹を持つて来たが、崩れたやうに胡座して、頻に恁う我が膳を視めて、指をした。

 441/622 442/622 443/622


  [Index]