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 『春昼』 泉鏡花を読む

「心があらはれては尚困るぢやありませんか。」
「否、塩気を嫌ふと見えまして、其の池のまはりには些とも居りません。邸には此頃ぢや、其の魅するやうな御新姐も留主なり、穴はすか/\と真黒に、足許に蜂の巣になつて居りましても、蟹の住居、落ちるやうな憂慮もありません。」

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