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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 宰八の背後《あと》から、もう一人。杖《ステッキ》を突いて続いた紳士は、村の学校の訓導である。
 「見馴れねえ旅の書生さんじゃ、下ろした荷物に、寝《そ》べりかかって、腕を曲げての、足をお前《めえ》、草の上へ横投げに投出して、ソレ其処《そこい》ら、鷺の鶏冠のように、川面へほんのりく、すいすいと出て咲いていら、昼間見ると桃色の優しい花だ、はて、蓬でなしよ。」

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