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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 泰助は思ひ当る事あれば、尚も聞かむと亭主に向ひ、「談《はな》してお聞かせなさい、実に怪談が好物だ。「余り陰気な談《はなし》をしますと是非魔が魅《さ》すといひますから。と逡巡《しりごみ》すれば、「馬鹿なことを、と笑はれて、「それでは燈《ひ》を点して懸りませう。暗くなりました。「怪談は暗がりに限るよ。「えゝ!仕方がありません。先月の半ば頃一日《あるひ》晩方の事……」

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