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 『義血侠血』 青空文庫

 渠は親もあらず、同胞《はらから》もあらず、情夫《つきもの》とてもあらざれば、一切の収入はことごとくこれをわが身ひとつに費やすべく、加うるに、豁達豪放の気は、この余裕あるがためにますます膨張して、十金《じっきん》を獲《う》れば二十金《にじっきん》を散ずべき勢いをもって、得るままに撒き散らせり。これ一つには、金銭を獲るの難きを渠は知らざりしゆえなり。

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