検索結果詳細
『高野聖』 泉鏡花を読む
那様にございませんければ恁うやつてお話をなすつて下さいまし、寂しくつてなりません、本当にお可愧しうございますが、恁麼山の中に引篭つてをりますと、ものをいふことも忘れましたやうで、心細いのでございますよ。
貴僧、それでもお眠ければ御遠慮なさいますなえ。別にお寝室と申してもございませんが其代り蚊は一ツも居ませんよ、町方ではね、上の洞の者は、里へ泊りに来た時蚊帳を釣つて寝かさうとすると、何うして入るのか解らないので、梯子を貸せいと喚いたと申して嬲るのでございます。
476/622
477/622
478/622
[Index]