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 『義血侠血』 青空文庫

 渠の希望《のぞみ》はすでに手の達《とど》くばかりに近づきて、わずかにここ二、三箇月を支うるを得ば足れり。無頓着なる糸はただその健康を尋ぬるのみに安んじて、あえてその成業の期を問わず、欣弥もまたあながちこれを告げんとは為さざりき。その約に負《そむ》かざらんことを虞《おそ》るる者と、恩中に恩を顧みざる者とは、おのおのその務むべきところを務むるに専《もっぱら》なりき。

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