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 『歌行燈』 従吾所好

 三味線も弾けず、踊りも出来ぬ、座敷で衣物が脱げないない、内で脱げ、引剥ぐと、な、帯も何も取られた上、台所で突伏せられて、引窓を故と開けた、寒いお月様のさす影で、恥かしいなあ、柄杓で水を立続けて乳へも胸へもかけられましたの。
 此方から、あの、お座敷を掛けて下さいますと、何うでせう、炬燵で温めた襦袢を着せて、東京のお客ぢやさうなと、な、取つて置きの着物を出して、能う勤めて帰れや言うて、御主人が手で、駒下駄まで出すんです。

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