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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
「ハイぶうらり/\、谷戸の方へ、行かしつけえ。」
と言ひかけて身体ごと、此の巌殿から橿原へ出口の方へ振向いた。身の挙動が仰山で、然も用ありげな素振だつたので、散策子もおなじく其方を。……帰途の渠には恰も前途に当る。
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