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 『人魚の祠』 青空文庫

 風情は一段で、汀には、所々、丈の低い燕子花《かきつばた》の、紫の花に交《まじ》つて、あち此方《こち》に又一輪づゝ、言交《いひか》はしたやうに、白い花が交《まじ》つて咲く……
 あの中島は、簇《むらが》つた卯の花で雪を被《かつ》いで居るのです。岸に、葉と花の影の映る処は、松葉が流れるやうに、ちら/\とが揺れます。小魚《こうを》が泳ぐのでせう。

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