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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
「それ見えるでがさ。の、彼処さ土手の上にござらつしやる。」
錦の帯を解いた様な、媚めかしい草の上、雨のあとの薄霞、山の裾に靉靆く中に一張の紫大きさ月輪の如く、はた菫の花束に似たるあり。紫羅傘と書いていちはちの花、字の通りだと、それ
美
人の持物。
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