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『義血侠血』
青空文庫
「へいこれは、これはどうもはばかり様。さぞお痛うございましたろう。御免なすってくださいましよ。いやはや、意気地はありません。これさ馬丁《べっとう》さんや、もし若い衆さん、なんと顛覆《ひっくりかえ》るようなことはなかろうの」
御者は見も返らず、勢籠めたる一鞭を加えて、
「わかりません。馬が跌きゃそれまででさ」
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