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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
「濡れちゃいねえが、ヒヤリとしたでね、可い塩梅よ、引込んだのは手棒《てんぼう》の方、」
へへ、とまた独りで可笑《おかし》がり、
「此方《こっち》の手で、ハイ海へ落ちさっしゃるお日様と、黒門の森に掛ったお月様の真中へ、高《たっか》くこう透かして見っけ。
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