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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「此方《こっち》の手で、ハイ海へ落ちさっしゃるお日様と、黒門の森に掛ったお月様の真中へ、高《たっか》くこう透かして見っけ。
 しゃぼん球ではねえよ。真丸な手毬の、影も、草にったでね。」
 「それがまたどうして消えた、馬鹿な!」

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