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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 しゃぼん球ではねえよ。真丸な手毬の、影も、草に映ったでね。」
 「それがまたどうして消えた、馬鹿な!」
 と勢込《いきおいこ》む、つき反らした杖《ステッキ》の尖が、ストンと蟹の穴へ挟ったので、厭な顔をした訓導は、抜きざまに一足飛ぶ。

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