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 『歌行燈』 従吾所好

「二よ。」と、庄屋殿が鉄砲二つ、ぬいと前へ突出いて、励ます如く呵々〈からから〉と弥次郎兵衛、
「これ、其の位な事は出来よう。いや、其も度胸だな。見た処、其のやうに気が弱くては、如何な事も遣つけられまい、可哀相に。」と声が掠れる。
「あの……私が、自分から、言ひます事は出来ません、お恥しいのでございますが、舞の真似が少しばかり立てますの、其も唯一ツだけ。」

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