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『歌行燈』
従吾所好
「これ、其の位な事は出来よう。いや、其も度胸だな。見た処、其のやうに気が弱くては、如何な事も遣つけられまい、可哀相に。」と声が掠れる。
「あの……私が、自分から、言ひます事は出来ません、お恥しいので
ござ
いますが、舞の真似が少しばかり立てますの、其も唯一ツだけ。」
と云ふ顔を俯向けて、恥かしさうに又手を支く。
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