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 『義血侠血』 青空文庫

「あったか、あったか」と両三人の声は〓《こた》えぬ。
 糸は猿轡を吃《はま》されて、手取り足取り地上に推し伏せられつ。されども渠は絶えず身を悶えて、跋《は》ね覆《か》えさんとしたりしなり。にわかに渠らの力は弛みぬ。虚《すか》さず糸は起き復《かえ》るところを、はたと〓仆《けたお》されたり。賊はその隙《ひま》に逃げ失《う》せて行くえを知らず。

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