検索結果詳細


 『親子そば三人客』 従吾所好

「おう、何だぜ、」といひさま細い赤大名〈あかだい〉の双子の、寐皺は寄つたが、未だ新しい、艶のある袷に、三尺をしめた姿で、土間へツイと立上つて、
「都合があるからね。おい、これを預けて行かあ、ねえ、おい、」と二足三足。
 親仁が寄せて来るので、娘は鈴のやうな目をみはつて襷がけの其のあらはな手で、前垂の端を取つたまゝ思はず退る。

 52/121 53/121 54/121


  [Index]