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『義血侠血』
青空文庫
これ悪漢が持てりし兇器なるが、渠らは白糸を手籠《てご》めにせしとき、かれこれ悶着の間に取り遺《おと》せしを、忘れて捨て行きたるなり。
白
糸はたちまち慄然として寒さを感《おぼ》えたりしが、やがて拾い取りて月に翳しつつ、
「これを証拠に訴えれば手掛かりがあるだろう。そのうちにはまたなんとか都合もできよう。……これは今死ぬのは。……」
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