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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 橋は明神の前、三崎街道に一つ、村の中に一つ。今しがた渠らが渡って、此処から見えるその村の橋も、鶴谷の手で欄干はついているが、細流《せせらぎ》の静かなれば、偏《ひとえ》に風情を添えたよう。青い山から靄の麓へ架け渡したようにも見え、低い堤防《どて》の、茅屋から茅屋の軒へ、階子《はしご》を横《よこた》えたようにも見え、唯《と》ある大家の、物好に、長く渡した廻廊かとも視《なが》められる。

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