検索結果詳細
『義血侠血』
青空文庫
良心に逐われて恐惶せる盗人は、発覚を予防すべき用意に遑《いとま》あらざりき。渠が塀ぎわに徘徊せしとき、手水口《ちょうずぐち》を啓きて、家内の一個《ひとり》は早くすでに白糸の姿を認めしに、渠は鈍《おぞ》くも知らざりけり。
鉢前の雨戸は不意に啓きて、人は面を露わせり。
白
糸あなやと飛び退《すさ》る遑《ひま》もなく、
「偸児《どろぼう》!」と男の声は号《さけ》びぬ。
551/706
552/706
553/706
[Index]