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 『義血侠血』 青空文庫

「偸児《どろぼう》!」と男の声は号《さけ》びぬ。
 糸の耳には百雷の一時に落ちたるごとく轟けり。精神錯乱したるその瞬息に、懐なりし出刃は渠の右手《めて》に閃きて、縁に立てる男の胸をば、柄《つか》も透《とお》れと貫きたり。

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