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『義血侠血』
青空文庫
渠は内儀を縛めんとて、その細帯を解かんとせり。ほとんど人心地あらざるまでに恐怖したりし主婦《あるじ》は、このときようよう渠の害心あらざるを知るより、いくぶんか心落ちいつつ、はじめて賊の姿をば認め得たりしなり。こはそもいかに! 賊は暴《あら》くれたる大の男《おのこ》にはあらで、軆度《とりなり》優しき女子《おんな》ならんとは、渠は今その正体を見て、与しやすしと思えば、
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