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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 あはれ其時那の婦人が、蟇に絡られたのも、猿に抱かれたのも、蝙蝠に吸はれたのも、夜中に魑魅魍魎に魘はれたのも、思ひ出して、私も犇々と胸に当つた。
 なほ親仁のいふやう。
 今の白痴も、件の評判の高かつた頃、医者の内へ来た病人、其頃は未だ子供、木訥な父親が附き添ひ、髪の長い、兄貴がおぶつて山から出て来た。足に難渋な腫物があつた、其の療治を頼んだので。

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