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『高野聖』
泉鏡花を読む
固より一室を借受けて、逗留をして居つたが、かほどの悩は大事ぢや、血も大分に出さねばならぬ、殊に子供、手を下すには体に精分をつけてからと、先づ一日に三ツづゝ鶏卵を飲まして、気休めに膏薬を貼つて置く。
其の膏薬を剥がすにも親や兄、又傍のものが手を懸けると、堅くなつて硬ばつたのが、めり/\と肉にくツついて取れる、ひい/\と泣くのぢやが、娘が手をかけてやれば黙つて耐へた。
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