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『国貞えがく』
青空文庫
あと二夜《ふたよ》ばかりは、空模様を見て親たちが出さなかった。
さて晴れれば晴れるものかな。磨出《みがきだ》した良《い》い月夜に、駒の手綱を切放されたように飛出して行った時は、もうデロレンの高座は、消えたか、と跡もなく、後幕一重《うしろまくひとえ》引いた、あたりの土塀の破目《われめ》へ、
白
々と月が射した。
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