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 『国貞えがく』 青空文庫

 茫となって、辻に立って、前夜の雨を怨めしく、空を仰ぐ、と皎々として澄渡って、銀河一帯、近い山の端から玉の橋を町家の屋根へ投げ懸ける。その上へ、真な形で、瑠璃色の透くのに薄い黄金《きん》の輪郭した、さげ結びの帯の見える、うしろ向きで、雲のような女の姿が、すっと立って、するすると月の前を歩行《ある》いて消えた。……織次は、かつ思いかつ歩行《ある》いて、丁どその辻へ来た。

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