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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 其でもなか/\捗取らず、七日も経つたので、後に残つて附添つて居た兄者人が、丁度刈入で、此節は手が八本も欲しいほど忙しい、お天気模様も雨のやう、長雨にでもなりますと、山畠にかけがへのない、稲が腐つては、飢でござりまする、総領の私は、一番の働手、かうしては居られませぬから、と辞をいつて、やれ泣くでねえぞ、としんみりと子供にいひ聞かせて病人を置いて行つた。

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