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 『日本橋』 青空文庫

「僕は帽を取るよ。更めて挨拶をします。可い加減にしなくっちゃ困るじゃありませんか。夜分、我々が通行するのに、こういう事は間々あります。迷惑でも御職務に対して敬意を表する。それにしてもです。唯今までさえ、立入過ぎたお尋ねのなさり方ですが、単に御熱心であるからだ、と思ったんです。
 この上何を聞くんです。まったく可い加減にして下さい。……用が有るなら住所へお尋ねを願いましょうかしらん。」
「さよう、当方の都合に因っては住所へもお尋ね出来ます、また……都合によっては、本署へ御同行も出来得るですでなあ。」

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