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『日本橋』
青空文庫
日南に蒸れる酢の臭に、葉も花片も萎えんとす。
引切の無い人通りも、およそ途中で立停って、芸者の形を見物するのは、鰻屋の前に脂気を嗅ぐ、奥州のお婆さんと同じ恥辱だ、という心得から、誰も知らぬ
顔
で行違う。……もっとも対手は小児である。
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