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 『春昼』 泉鏡花を読む

 以来、あの柱に、うたゝ寐の歌がありますので。
 客人はあと二三日、石の唐櫃に篭つたやうに、我と我を、手足も縛るばかり、謹んで引篭つてござつたし、私も亦油断なく見張つて居たでございますが、貴下、聊か目を離しました僅の隙に、何処か姿が見えなくなつて、木樵が来て、点燈頃、(私、今、来がけに、彼処さ、蛇の矢倉で見かけたよ、)

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