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『義血侠血』
青空文庫
「証拠になろうという物はそればかりではない。死骸のそばに出刃庖丁が捨ててあった。柄の所に片仮名のテの字の焼き印のある、これを調べると、出刃打ちの用《つか》っていた道具だ。それに今の片袖がそいつの浴衣に差違《ちがい》ないので、まず犯罪人はこいつとだれも目を着けたさ」
旅商人は膝を進めつ。
「へえ、それじゃそいつじゃないんでございますかい」
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