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 『春昼後刻』 泉鏡花を読む

 路は、あはれ、鬼の脱いだ其の沓を跨がねばならぬほど狭いので、心から、一方は海の方へ、一方は橿原の山里へ、一方は来し方の巌殿になる、久能谷の此の出口は、恰も、ものの撞木の形。前は一面の麦畠。
 正面に、青麦に対した時、散策子の面は恰も酔へるが如きものであつた。
 南無三宝声がかゝつた。それ、言はぬことではない。

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