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 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

 いつかは、何かの新聞で、東海道の何某《なにがし》は雀うちの老手である。並木づたいに御油《ごゆ》から赤坂まで行く間に、雀の獲もの約一千を下らないと言うのを見て戦慄した。
 空気銃を取って、日曜の朝、ここの露地口に立つ、狩猟服の若い紳士たちは、失礼ながら、犬ころしに見える。
 去年の暮にも、隣家の少年が空気銃を求め得て高く捧げて歩行《ある》いた。隣家の少年では防ぎがたい。おつかいものは、ただ煎餅《せんべい》の袋だけれども、雀のために、うちの小母さんが折入って頼んだ。

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