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『半島一奇抄』
青空文庫
と居士が、太《ひど》く怯《おび》えた声で喚《わめ》いた。私もぎょっとして後《あと》へ退《さが》った。
いや、嘘のような話です――遥《はるか》に蘆《あし》の湖《こ》を泳ぐ馬が、ここへ
映
ったと思ったとしてもよし、軍書、合戦記の昔をそのまま幻に視《み》たとしても、どっち道夢見たように、瞬間、馬だと思ったのは事実です。
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