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 『五大力』 従吾所好

 其処らの棟の鬼瓦でも、霜を被つて白けりや、噛りつきたいほどなんだ。」
 と、戯らしく言ひながら、得堪へぬ状して、ふと外を覗いた。小弥太の夢のやうな顔は、霜に更けて、行燈と二つかつた。
 ト熟と的所〈あてど〉なしに四辺を〓〈みまわ〉す……瞳は酒に朦朧としたらしかつた。が、不意に縁台を離れて立つ、と二ツ三ツ蹌踉〈よろめ〉いて、慌しげに、

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