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『義血侠血』
青空文庫
満廷粛として水を打ちたるごとくなれば、その靴音は四壁に響き、天井に〓《こた》えて、一種の恐ろしき音を生《な》して、傍聴人の胸に轟きぬ。
威儀おごそかに渠らの着席せるとき、正面の戸は再び啓きて、高爽《こうそう》の気を帯び、明秀の容《かたち》を具えたる法官は顕われたり。渠はその麗しき髭を捻りつつ、従容として検事の席に着きたり。
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