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 『義血侠血』 青空文庫

 威儀おごそかに渠らの着席せるとき、正面の戸は再び啓きて、高爽《こうそう》の気を帯び、明秀の容《かたち》を具えたる法官は顕われたり。渠はその麗しき髭を捻りつつ、従容として検事の席に着きたり。
 謹慎なる聴衆を容れたる法廷は、室内の空気些も熱せずして、渠らは幽谷の木立ちのごとく群がりたり。制服を絡《まと》いたる判事、検事は、と青とカバーを異にせるテーブルを別ちて、一段高き所に居並びつ。

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