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『歌行燈』
従吾所好
衝と、引潜つて、ドンと飛び摺りに、どゞゞと駈け下りると、ね。
(袖や、止めませい。)
と宗山が二階で喚〈わめ〉いた。皺枯声が、風でぱつと耳に当ると、三四人立騒ぐ女の中から、すつと美しく姿を抜いて、格子を開けた門口で、しつかりと掴まる。吹きつけて揉む風で、颯と紅い褄が搦むやうに、私に縋つたのが、結綿の、其の娘です。
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