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 『歌行燈』 従吾所好

 何故ツて、宗山が其の夜の中に、私に辱められたのを口惜しがつて、傲慢な奴だけに、ぴしりと、もろい折方、憤して了つたんだ。七代まで流儀に祟る、と手探りでにじり書した遺書〈かきおき〉を残してな。んだのは鼓ヶ岳の裾だつた。あの広場の雑樹へ下つて、夜が明けて、漸ツと小止〈こやみ〉に成つた風に、ふら/\とまだ動いて居たとさ。

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