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 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

「赤沼の若いもの、三郎でっしゅ。」
「河童衆、ようござった。さて、あれで見れば、石段を上《のぼ》らしゃるが、いこう大儀そうにあった、若いにの。……和郎たち、空を飛ぶ心得があろうものを。」
「神職様《かんぬしさま》、おおせでっしゅ。――自動車に轢《ひ》かれたほど、身体《からだ》に怪我《けが》はあるでしゅが、梅雨空を泳ぐなら、鳶烏《とびからす》に負けんでしゅ。お鳥居より式台へ掛《かか》らずに、樹の上から飛込んでは、お姫様に、失礼でっしゅ、と存じてでっしゅ。」

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