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 『国貞えがく』 青空文庫

 さて、この辻から、以前織次の家のあった、某……町の方へ、大手筋を真直《まっすぐ》に折れて、一丁ばかり行った処に、小北の家がある。
 両側に軒の並んだ町ながら、この小北の向側《むこうがわ》だけ、一軒づもりポカリと抜けた、一町内の用心《ようじんみず》の溜《みずたまり》で、石畳みは強勢《ごうせい》でも、緑晶色《ろくしょういろ》の大溝になっている。

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