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『歌行燈』
従吾所好
いや、叔父が怒るまいか。日本一の不所存もの、恩地源三郎が申渡す、向後一切、謡を口にすること罷成らん。立処に勘当だ。さて宗山とか云ふ盲人、己〈おの〉が不束なを知つて屈死した心、斯くの如きは芸の上の鬼神なれば、自分は、葬式〈とむらひ〉の送迎、墓に謡を手向けう、と人々と約束して、私は其の場から追出された。
あとの事は何も知らず、其の時から、津々浦々をさすらひ歩行く、門附の果敢い身の上。」
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