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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 と胸を引いて、僧は寛いだ状《さま》に打笑い、
 「あるいはそうであろうかにも思いましたよ。では、唯村のものが可い加減な百物語。その実、虚説《うそ》なのでございますので?」
 「否《いいえ》、それは事実です。畳は上りますとも。貴僧《あなた》、今にも動くかも分りません。」

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