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 『五大力』 従吾所好

 蓮歩〈れんぽ〉の音よ、遠くから、からんと鳴つて、玉の近づくが如く響いたが――地獄を遁げて星に〓〓〈さまよ〉ふ蘇生〈よみがへ〉つて幽霊めく――寒参詣の侠〈きほひ〉どもを、路の両側に踞まらせて、前後〈あとさき〉遠く犬も鳴かぬ、冷たく白々〈しろ/゛\〉とある地〈つち〉に、白銀の糸の響を伝へて、気勢が近づく。
 両側の棟が沈んで、裳に近く、輿に参る。……其の上を、渡るが如く、すら/\と、此の梅川の店の前を、汐見橋の方へ、向つて行く時、親仁が控へる袖を払つて、小弥太は其でも乗棄てた車を楯に、半ば気怯〈きおく〉れしながら密と覗いた。

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