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『五大力』
従吾所好
捌く褄に颯と燃えつゝ、炎の氷つた紅が靡くと、霜の色が淡〈うす〉く揺れかゝつて、掻消すばかり、弱腰に、帯の錦の雲もないのに、裳は重いまでずらりとした。
打見るも麗〈あで〉なる女性〈によしやう〉。
明星の空の簪や、一輪蒼く、うしろ状に、黒髪の艶に沈んで、頸を白く、……やゝ俯向けに袖を引合はせして胸をば抱いたのが、行過ぎる端に、ふと見えた、其の面影。
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