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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
「一ツ分けて遣りましょうかね。団子が欲しいのかも知れん、それだと思いが可恐《おそろ》しい。真個《ほんとう》に石にでもなると大変。」
「食気《くいけ》の狂人《きちがい》ではござりませんに、御無用になさりまし。
石じゃ、と申しましたのは、これでも幾干《いくら》か、不断の事を、覚えていると見えまして、私《わし》が何時でもお客様に差上げますのを知っておりまして、今のようにいうたのでござりましょ。
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